目標を達成したのに、なぜ満たされない?「成果」と「認められている安心感」を分けて考える

達成前に期待していた変化と、実際に変わったことを比べると、次の目標に足すべきものと、目標では解決しにくいものが見えてきます。

達成を示す物と祝福の通知が並び、手が次の目標を書く前で止まっている場面。

こんな思いを抱えている方へ

大切な目標を達成したのに、ほどなくして「次は何を証明しなければならないのだろう」と考え始めているあなたへ。

この記事で考えられること

成果によって実際に変わったことと、その成果に求めていた安心感を分け、次の目標に入れるものと、別の方法で向き合うものを言葉にできます。

欲しかった結果は手に入った。それでも、なぜまた何かを証明したくなるのでしょう?

結果が出た夜を思い浮かべてみてください。

試験に合格しました。プロジェクトが承認されました。昇進が決まりました。スマートフォンには、お祝いのメッセージが届きます。

しばらくは、素直にうれしいはずです。

でも、そのうち頭の中が次へ進みます。次は何をすれば、これからも「できる人」だと思ってもらえるのだろう。

この瞬間がややこしいのは、一つの目標に、どちらも自然な二つの願いが重なっていることがあるからです。

あなたは、その成果そのものを望んでいました。同時に、その成果によって「周りからどう見られているか」についても安心したかったのかもしれません。

この二つは同じではありません。区別することは、向上心や認められたい気持ちを否定することでもありません。

ただ、次の目標に何を任せるのかが、少しはっきりします。

先に結論

  • まず、その達成によって現実の何が変わるはずだったのかを確認してみましょう。
  • 次に、「成果としてまだ足りないもの」と「まだ安心できない気持ち」を分けてみましょう。
  • そして次の目標には、目標で本当に解決できることだけを任せましょう。

1. 期待していた変化と、実際に変わったことを比べる

「達成したのに足りない」と結論づける前に、もう少し具体的に考えてみます。

この結果によって、何が変わると期待していたのでしょうか。

たとえば、昇進を目指していたとします。

昇進すれば、もっと面白い仕事ができる。意思決定にも今より関われる。上司から信頼されていることも、今よりはっきり分かる。そんな期待があったかもしれません。

では、実際には何が変わったでしょうか。

役職名は変わったのに、仕事内容も権限もほとんど変わっていないことがあります。この場合、落胆をすぐに深い心理の問題として説明する必要はありません。単純に、実際に得られたものが、期待して当然だった範囲より少なかった可能性があります。

一方で、昇進後に難しい仕事が増え、責任も裁量も広がったとします。上司からも祝福されました。それでも二日後、うまくいかなかった会議をきっかけに、「みんなは今も、自分がこの役職にふさわしいと思っているだろうか」と不安になります。

こちらは、別の種類の「足りなさ」です。

違いを見るには、次の二つを並べてみると分かりやすくなります。

達成前、この結果で変わると思っていたこと:
「________________________________。」

実際に変わったこと:
「________________________________。」

書くのは、目に見える変化です。できるようになった仕事、収入、責任、知識、裁量、アクセスできるもの、完成したプロジェクト、変わった取り決めなどです。

この確認を先にすると、期待どおりにならなかったことを、何でも自分のせいにせずに済みます。

成果そのものが、期待していた結果を十分に生んでいなかっただけかもしれません。

一方で、現実の変化は起きているのに、「また自分を証明しなければ」という感覚がすぐ戻るなら、次の区別が役立ちます。

2. 「結果がまだ足りない」と「安心がまだ足りない」を分ける

人から認められたいと思うことには、十分に自然な理由があります。

褒められれば、自分の仕事が誰かの役に立ったと分かることがあります。昇進は、組織からより大きな責任を任されたサインになることがあります。試験に合格すれば、難しい内容を学べたという一つの証拠にもなります。

ですから、考えたいのは「なぜ人の目を気にしてしまうのか」ではありません。

むしろ、こうです。

「この達成に、何を証明してほしかったのでしょうか。そして、その証明がずっと続くことまで期待していなかったでしょうか。」

心理学では、特定の分野での成功や失敗によって自己評価が大きく左右される状態を説明する概念として、contingent self-worth という言葉があります。2003年の研究では、大学生1,418人を対象に、学業上の能力や他者からの承認など7領域を含む尺度が作成されました。この研究は概念を定義・測定する助けにはなりますが、「褒められたい」「成果を出したい」と思うこと自体が不健全だと示したものではありません。(Journal of Personality and Social Psychology)

別の2か月間の研究では、大学院に出願していた学生32人を追跡しました。学業上の能力に自己価値を強く結びつけていた学生ほど、合格した日は自己評価が大きく上がり、不合格の日は大きく下がりました。ただし対象者は32人と少なく、学業達成に強く偏った状況です。そのため、向上心のある人全般に当てはまる法則として扱うことはできません。(Personality and Social Psychology Bulletin)

これらの研究だけで、あなたが達成後に満たされない理由を説明できるわけではありません。ここで参考になるのは、もっと限定された点です。同じ成功や失敗でも、それが「自分には価値があるのか」まで証明する役目を背負うと、感情への影響が大きくなることがあります。

ここで、二つのケースを比べてみます。

ケースA:成果として、まだ足りないものがある。

より難しい仕事を担当できるようになりたくて、専門資格を取得しました。試験には合格しましたが、実務ではまだ一人でその仕事をこなせません。

資格を取った事実は本物です。そして、残っている課題も本物です。

次の目標は、「このスキルを使って、サポートを減らしながら実案件を一つ完了する」といったものが考えられます。

まだ足りないのは能力や経験なので、次の達成が役に立つ余地があります。

ケースB:主に足りないのは安心感である。

同じ資格を取った理由の一つが、「これに合格すれば、上司も自分をできる人だと認めてくれるはず」だったとします。

合格しました。上司からも祝福されました。

ところが、新しい仕事が来ると、また同じ問いが戻ってきます。今も、自分は十分できると思われているだろうか。

もっと難しい資格を取れば、知識は増えるかもしれません。でも、その資格で、他人が今後の仕事をどう評価するかまで保証することはできません。

認められたい気持ちが浅いという話ではありません。残っている問題の種類が変わったということです。

「次は何を達成すればいいか」だけでなく、「自分はまだ、成果からどんな安心を得ようとしているのだろう」と考えてみると、別の道が見えることがあります。

より具体的なフィードバックをもらう。期待されている水準を確認する。責任範囲について話し合う。あるいは、新しい仕事のたびに「自分は尊重されるに値するのか」を試すようになっていないかに気づく。そうした方向です。

3. 次の目標に、一つだけ仕事を任せる

この区別は、次に何をするかが変わって初めて役に立ちます。

実際に書き込むと、たとえば次のようになります。

質問記入例
この達成で、何が変わると思っていた?「合格すればスキルの証明になり、上司から仕事を認められていると安心できると思っていた。」
実際に何が変わった?「合格した。知識も増えた。上司からも祝福された。」
具体的に、まだ足りない結果は?「このスキルを実案件で一人で使った経験がまだない。」
まだ足りない安心は?「何か失敗したときにも、上司が自分をできる人だと思っている確信がほしい。」
次の目標に入れるものは?「このスキルを使い、実案件を一つ自力で進める。」
別の方法が必要なものは?「新しい達成を次々と証明に使うのではなく、何が良い仕事なのかについて、もっと具体的なフィードバックをもらう。」

ここまで書けると、答えは二つの文にできます。

次の目標について:

次の目標では、実案件を一人で進める経験を増やしたいです。試験に合格したことで知識を身につけたことは確認できましたが、それを一人で使えるところまではまだ確認できていないからです。

もう一つ目標を達成しても解決しにくいことについて:

もう一つ成果を増やしても、上司がこれから先ずっと自分を「できる人」と見る保証にはなりません。だから、証明を増やすより、仕事に何を期待されているのかを具体的に確認したいです。

もちろん、あなたの言葉はこれとは違って構いません。

見分けるポイントは、最初の文の最後に「目標によって実際に作れるもの」が来ているかどうかです。スキル、経験、結果、選択肢、完成した仕事、現実の状況の変化などです。

二つ目の文には、一つの達成だけではずっと確かなものにできないことが入るかもしれません。他人からの承認、誰も失望させないという確信、これからの成功がずっと自分の価値を証明してくれるという保証などです。

この二つが混ざると、本当は片方にしか新しい目標が必要でないのに、「もっと高い目標を立てよう」が当然の答えに見えやすくなります。

どの「足りなさ」を埋めたいのか分かると、次の目標は決めやすくなります

まず見るのは、自分への評価ではなく、実際に何が起きたかです。

期待していた具体的な変化が起きていないなら、まだ成果の側に課題が残っています。新しい目標や別の方法、より明確な取り決めが役に立つことがあります。

一方で、現実の変化は起きたのに、ほとんどすぐ「また証明しなければ」と感じるなら、安心の側にも課題がないか見てみます。

両方が同時にあることもあります。

目指すのは、褒められることや地位、成長、難しい目標を楽しめない人になることではありません。

一つの有限な達成に、終わりのない仕事まで任せていないかに気づくことです。

そうすると、次の二つの文がはっきりしてきます。

「次の目標では、______を足したい。」

「もう一つ目標を達成しても、______は解決しにくい。」

単に「次は何を達成すればいいか」と考えるより、次の一歩を選びやすくなります。

理想のあなたに近づくために

  • 今回の達成で本当に変わったことは、満たされなかった気持ちのせいで全部なかったことにせず、一緒に残しておきましょう。
  • まだ足りないものが、能力や状況なのか、「認められている」という安心感なのか、その両方なのかを一緒に言葉にしてみましょう。
  • 次の目標を決める前に、目標で解決する部分と、別の会話や支えが必要な部分を一緒に分けてみましょう。