「やりたいことがない」のではなく、興味を早く切り捨てすぎていませんか?
興味があるかどうかと、実際にやるかどうかを分けて考えれば、年齢・費用・失敗への不安に興味そのものを消されず、次の一歩を選びやすくなります。
こんな思いを抱えている方へ
少し興味が湧いても、年齢、費用、時間、失敗への不安を考えるうちに、本当に興味があるのか確かめる前に候補から外してしまうことがある人。
この記事で考えられること
興味と実行可能性を分けて考え、「もう少し確かめてみたい」と思える興味を一つ残し、一生の決断にせず小さく試せるようになります。
少し気になったのに、数分後には「やめておこう」とページを閉じていませんか?
初心者向けの講座を見つけたとします。あるいは、今までやったことのない仕事や、誰かが作っているものが少し気になったとします。
一瞬だけ、「これ、どうやっているんだろう」と目が止まります。
ところが、その直後に別の考えが始まります。
「今から始めるには遅いかもしれない」
「続けるなら、お金がかかりそうだ」
「何か月もやって、向いていなかったらどうしよう」
「覚えても、何に使うんだろう」
そして数分後には、そのページを閉じています。
これは、最初から興味がなかったという意味とは限りません。興味そのものを確かめる前に、時間やお金、これからの生活を守ろうとして、先に現実性を判断している可能性があります。
その慎重さ自体はおかしくありません。分野によっては年齢が関係します。時間もお金も実際の制約です。失敗したときに現実的な負担が生じることもあります。
問題は、一つの問いが別の問いにすり替わることです。
「自分にとって現実的か」と「自分はこれに興味があるか」は、同じ問いではありません。
まずはここだけ分けて考えてみましょう
- 興味があるかどうかを、現実的かどうかより先に確認します。
- 制約は興味を消す理由ではなく、どこまで試すかを決める材料にします。
- 一つの興味を、情報を増やすための小さな試し方で確かめます。人生を決めるためではありません。
1. 「やりたくない」と「今は現実的ではない」を分ける
同じデジタルイラストの初心者向け講座を見ている二人を考えてみます。
一人目は、簡単な形から絵ができていく様子を見ても、あまり自分でやってみたいとは思いません。次の手順にもそれほど関心が向きません。まだ費用や年齢、仕事に役立つかどうかもほとんど考えていません。
この場合は、「活動そのものへの興味があまり強くない」という情報が得られています。
では、二人目はどうでしょう。
同じ講座を見て、「次はどうやるんだろう」と気になります。自分でも少し触ってみたいと思います。
ところが、そこから別の考えが続きます。
知らないソフトを覚えないといけない。続けるなら、いずれ機材にお金がかかるかもしれない。自分にはうまくできないかもしれない。今の年齢から始める意味があるのかも分からない。
そして、講座を閉じます。
外から見れば、どちらも「やめた」という同じ結果です。
でも、中身は違います。
Robert Lent、Steven Brown、Gail Hackettが提唱したSocial Cognitive Career Theory(社会的認知キャリア理論)では、興味の形成、どの選択肢を考えるか、その後の成果や継続を関連する過程として扱いながら、自分にできそうかという感覚、期待する結果、行動を支えたり妨げたりする外部条件も考えます。原論文はJournal of Vocational Behaviorで確認できます。
ただし、これは「興味は他の要因とは無関係に存在する」という意味ではありません。この理論でも、自分にできそうかという感覚や期待する結果は、興味そのものにも影響し得ると考えます。
ここで大切なのは、もっと小さな区別です。
「難しそう」「今は現実的ではない」と感じたことだけでは、「そもそも興味がなかった」とは言えません。
「今はやらない」と「興味がない」を分けておくと、実行しないと決めた場合でも、自分が何に反応したのかは残ります。
2. 興味と制約を、同じ欄に書かない
長い日記も、性格診断も必要ありません。
興味と実行判断を、一枚のメモの中で別々に書くだけでも、判断しやすくなります。
たとえば、先ほどのデジタルイラストなら、こう整理できます。
| 確かめること | 記入例 |
|---|---|
| 何が気になった? | 「簡単な形から絵を作っている動画を見ると、つい手を止めて見てしまう」 |
| 何を知りたい? | 「人が作るのを見るだけでなく、自分で作っても面白いのか知りたい」 |
| 今、大きく取り組むのが現実的でない理由は? | 「今はまとまったお金を使いたくないし、今の仕事を辞めるつもりもない」 |
| 生活を変えずに何を試せる? | 「今週、今持っている道具だけで30分を2回使って、ごく簡単な絵を一つ作ってみる」 |
| 今は何を決めない? | 「高い機材を買うか、1年間学ぶか、イラストレーターになるかは決めない」 |
ここでは、制約を無視していません。
変わったのは、興味があったという事実ではなく、試す大きさです。
二つを分けないと、考えはこうなりやすいです。
「お金がかかりそうだから、自分には向いていないのだろう」
分けると、こう言えます。
「試してみたいと思う程度には興味がある。でも、今すぐまとまったお金を使うほどではない」
こちらのほうが、今の状態を正確に表しています。
年齢が気になる場合も同じです。
「もう遅い」で終わらせず、実際の制限と自分の予想を分けます。もしその分野に年齢制限や必要な訓練、身体的な条件があるなら、大きく動く前にそこを確認します。
一方で、明確な制限がないなら、「この年齢から始めるには、実際に何が必要なのか」と問い直したほうが、判断材料が増えます。
これは、すべての選択肢を無理に続けるための方法ではありません。
現実的な制約を確認した結果、「今はやらない」「そこまでの費用をかけるほどではない」と決めることもあります。
大切なのは、その結論を「興味がなかったこと」に書き換えないことです。
3. 小さく試すなら、一つの問いだけを確かめる
次に進みやすくなるのは、「何を確かめる試行なのか」がはっきりしたときです。
この小さな試し方の目的は、
「これを中心に人生を組み立てるべきか」
を決めることではありません。
確かめたいのは、もっと小さな問いです。
「実際の作業をやってみたあとでも、もう一度やってみたいと思うか」
先ほどの例なら、「30分を2回使って、簡単な絵を一つ作る」と決めました。
2回目を終えたとき、たとえば三つの結果が考えられます。
結果A:実際にやってみると、興味が続かなかった
完成したイラストを見るのは好きでも、自分で形を選び、線を調整し、うまくいかないところを直す作業は退屈だった。終わったあとに、もう一度やりたいとは思わなかった。
この場合は、こう言えます。
「イラストというイメージには惹かれたけれど、作業そのものはそれほど好きではなかった。ここで手放してよさそうだ」
これは失敗ではありません。
知りたかったことが分かったからです。
結果B:興味は残ったが、制約も残った
難しい部分はあったけれど、「どうしたらもう少し良くできるだろう」と考え続けた。もう一度ならやってみたい。
ただし、費用への心配は残っています。
この場合は、こう整理できます。
「興味はある。でも、大きなお金を使う準備はまだない。今の制約の中でもう少し確かめたい」
ここでも、職業を決めたわけではありません。
結果C:まだ判断できない
ソフトの操作が難しすぎて、やりたかった作業よりも、画面の使い方を覚えることにほとんどの時間を使った。
この場合、その試行では本来の問いにまだ答えられていません。
「イラストは自分に向いていない」と決めるより、こう言えます。
「今回は、イラストが好きかどうかより、このツールを使えるかどうかを試していた。作業そのものが好きかは、まだ分からない」
これなら、うまく設計できなかった一度の試し方から、必要以上に大きな結論を出さずに済みます。
試行が役に立ったかを確かめる問いは、一つです。
その試行で、興味そのものについて前より確かな情報が増えましたか?
増えたなら、続ける、いったん止める、手放すのどれかを選べます。
増えていないなら、自分への評価に変えるのではなく、試し方を一度だけ調整できます。
興味・制約・どこまでやるかは、三つの別の答えです
順番が大切です。
まず、何に目が止まったのかを確認します。
次に、実際の制約を言葉にします。
そのあとで、どこまで時間やお金をかけるかを決めます。
最終的に「やらない」となることもあります。
「今はやらない」になることもあります。
小さく試した結果、「もう一度やってみたい」となることもあります。
どの答えも、すべてをまとめて「自分にはやりたいことがない」とするより、今の自分を正確に表しています。
今ここで、人生でやることを一つに決める必要はありません。
今は、次の一文が残れば十分です。
「これがどこにつながるかは分からない。でも、もう一つ確かめてみたいと思う程度には興味がある」
なりたい自分に少し近づくために
- やめる理由が出てくる前に気になったものを、一つだけ残してみましょう。
- 「興味がある」と「今は難しい理由」を別々に書いてみましょう。
- 人生を決める試し方ではなく、興味について一つ確かなことを増やす試し方にしてみましょう。
Courseraガイド
残した興味が、体系立てた学習で確かめられる分野なら、初心者向けコースは大きな決断の前に実際の内容に触れる方法の一つになります。
大切なのは、たくさん受講できるかどうかではありません。
そのコースで、自分が気になっている部分を本当に試せるか。費用や学習ペースが、今の制約に合っているか。
そこを確認できれば十分です。
コースは、興味を確かめるための環境の一つです。その興味を職業にすべきだと証明するものではありません。
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