向いていないのは仕事そのもの? それとも今の環境?

職種そのものを否定する前に、仕事内容と、その仕事をしている条件を分けて考えてみます。

日曜の夕方、机で月曜の予定を見ながら、仕事内容と職場の条件を切り分けて考えている人。

こんな思いを抱えている方へ

つらい上司、裁量の少なさ、長い労働時間、働きにくい環境が続き、自分はこの仕事に向いていないのではと考え始めた人。

この記事で考えられること

中心となる仕事内容と職場の条件を分け、次の仕事で残したいこと、変えたいこと、手放したいことを言葉にできるようになります。

日曜の夜、仕事どころか「この職種そのもの」が嫌に見えてくる

日曜の夕方です。

もう月曜のことを考えています。急に方針が変わるかもしれない会議。終わらせるより早く増えていくメッセージ。勤務時間は終わっているのに、つい確認してしまう仕事の通知。

そんな日が続くと、やがて一つの考えが全部を覆い始めます。

「そもそも、自分はこの仕事に向いていないのかもしれない」

その結論が正しい可能性もあります。

ただ、「この仕事」という言葉には、いくつもの要素が混ざっています。

実際に毎日やっている作業かもしれません。どこまで自分で決められるかという裁量かもしれません。上司や同僚との関係かもしれません。勤務時間、途中で入る割り込み、仕事量、周囲から求められることかもしれません。

こうした要素がいくつも同時につらいと、本来は別々だった不満が、「この仕事自体が嫌いだ」という一つの大きな判断にまとまりやすくなります。

COVID-19流行期にイングランドの大学職員を対象に2時点で行われた調査では、「仕事そのものへの満足」と「在宅勤務への満足」を別の評価として扱い、それぞれに一部異なる要因が関係していました。対象者も状況も限定された研究なので、あなたの不満の原因が仕事なのか環境なのかを判定するものではありません。ここから言えるのはもっと狭いことで、仕事全体への評価と、特定の働き方や条件への評価は、必ずしも同じではないということです。

だからこそ、「この職種は自分に合わない」と決める前に、もう少し細かく問い直す意味があります。

本当は、何から離れたいのでしょうか

まずは、今の仕事を四つに分けて考えると整理しやすくなります。

仕事内容そのもの: 一日の大半を、実際には何をして過ごしていますか。

裁量: やり方、順番、ペース、優先順位を、どの程度自分で決められますか。

人間関係: 上司、同僚、顧客、そのほか仕事で関わる人とのやり取りはどうでしょうか。

時間の条件: いつ働くのか、時間はどのくらい予測できるのか、本来は自分の時間だったところまで仕事が入り込んでくることはどのくらいあるでしょうか。

次に、このうち一つだけ変わった場面を想像してみます。

上司だけが変わり、毎日の仕事は同じままだとしたら、今よりかなり楽になるでしょうか。

細かなことまで許可を待たず、自分で日常的な判断をできるようになったら、それでも辞めたいでしょうか。

多くの日で決まった時間に仕事が終わるなら、この仕事への感じ方は変わるでしょうか。

今度は逆から考えます。

話を聞いてくれる上司がいて、無理のない勤務時間があり、必要な裁量があり、一緒に働きやすい人たちがいるとします。

それでも、一日の大半をその仕事の中心的な作業に使うこと自体が嫌でしょうか。

ここは大切な分かれ目です。環境が良くなれば、どんな仕事でも自分に合うようになるわけではありません。

自分にとって無理のない条件を想像してもなお、仕事の中心部分そのものが嫌だと感じるなら、会社を変えるだけでは主な問題が残るかもしれません。

同じ肩書きでも、仕事の感じ方は大きく変わる

同じ「プロジェクトコーディネーター」という肩書きで働く二人を想像してみます。

一つ目の会社では、進捗を確認し、複数のチームへ連絡し、プロジェクトが止まらないように調整します。

ただし、優先順位は説明もなく変わります。上司は細かな判断まで確認します。夜遅くにもメッセージが届き、すぐに返事をすることが期待されています。

それが何か月も続けば、こう思うかもしれません。

「プロジェクト調整の仕事なんて、もう嫌だ」

では、中心となる仕事内容はそのままに、条件だけを変えてみます。

もう一人も、締め切り、会議、進捗確認、表計算シート、複数チームとのやり取りを担当しています。

ただし、優先順位はあらかじめ共有されています。日常的な判断に毎回許可は要りません。本当に問題が起きたときには上司が支えます。多くの日は、決まった時間の範囲で仕事が終わります。

こちらならかなり受け入れやすいと感じるなら、解決したい問題の見え方が変わります。

職種そのものを捨てなくてもよい可能性があります。同じ職種でも、別の条件で働ける場所を探すほうが合っているかもしれません。

一方で、どちらの働き方でもつらそうだと感じる場合もあります。複数の案件を同時に追うこと、返事を催促すること、人を調整すること、多くの動きを頭の中で同時に管理すること自体が嫌だからです。

その場合は、結論も変わります。

役に立つ問いは、

「本当の問題は職場環境なのか?」

だけではありません。

「この経験の中で、もう繰り返したくないのはどの部分なのか?」

と考えるほうが具体的です。

答えが環境のこともあります。仕事内容そのもののこともあります。両方ということもあります。

「向いていない」を、次の仕事を選ぶ基準に変える

次の判断を少し具体的にするために、今すぐ自分のキャリア全体へ最終判定を下す必要はありません。

今の仕事を、三つに分けてみます。

残したいこと: もっとよい条件なら、これからも続けたい仕事内容。

変えたいこと: 仕事内容そのものは受け入れられるのに、それをつらくしている条件。たとえば上司の関わり方、裁量、勤務時間、仕事量、割り込みの多さなどです。

手放したいこと: 職場環境が良くなったとしても、次の仕事には持っていきたくない中心的な作業。

たとえば、こうなります。

残したい: 技術的な問題を解くこと、システムを扱うこと。
変えたい: 直前の指示変更が続くこと、勤務時間外にも仕事が入ってくること。
手放したい: 一日の多くを、承認を取るためのやり取りに使うこと。

これを、次の一文と比べてみてください。

「たぶん、自分はこの業界に向いていない」

後者だけでは、次に何を探せばよいかがほとんど分かりません。

前者なら、判断の基準になります。

求人を見るときには、残したい仕事がどのくらい含まれているかを確認できます。面接では、普段どのように意思決定するのか、優先順位が変わるときはどう共有されるのか、夕方遅くに仕事が入った場合はどう扱うのか、といったことを聞けます。

そして、手放したいと思った作業が、その職種では会社が変わっても中心になりやすいのであれば、職種自体を変えることを検討する材料にもなります。

もちろん、この整理にも限界があります。今の職場があまりにつらく、条件が良い状態で同じ仕事をしている自分を想像することすら難しいなら、すぐにきれいな結論が出ないこともあります。

無理に決める必要はありません。この切り分けは、今の状況を「本当は問題ない」と証明するためではなく、次に何を変えたいのかを少し具体的にするためのものです。

キャリア全体を「間違いだった」と決めなくていい

つらい仕事が続くと、職種、会社、上司、勤務時間、毎日の作業が、ひとまとまりの嫌な感覚になってしまうことがあります。

問いを少し小さくできます。

「仕事内容は同じでも、環境だけが変わったら、それでも辞めたいだろうか?」

条件が変わると答えも変わるなら、その環境条件は次の仕事を選ぶ基準に入れてよさそうです。

無理のない条件を想像しても答えが変わらないなら、仕事内容そのものをもう少し詳しく見てみる価値があります。

それでもまだ分からないなら、結論を保留にしたまま、すでに分かっていることだけを具体的にしていけば十分です。

「自分はこの仕事に向いていない」

ではなく、

「次の仕事では、___は残したい。___は変えたい。___は手放したい。」

と置き換えてみます。

今日、キャリア全体に判決を下す必要はありません。

次に何を繰り返したいのか、何を繰り返したくないのか。その輪郭が少しはっきりすれば、次の選択は今より具体的になります。