その仕事をしたいですか? それとも、「その仕事をしている自分」が好きですか?

仕事内容への関心と、肩書きや周囲からの評価への憧れを分け、普通の一週間を思い浮かべながら考えます。

白い机の上で、無地のネームプレートを脇に置きながら、仕事のタスクカードを一週間分に並べる手元。

こんな思いを抱えている方へ

憧れている職業があるものの、実際の日常業務を知って「本当にこの仕事がしたいのか」と迷い始めているあなたへ。

この記事で考えられること

仕事内容、職業に就いている自分への憧れ、周囲からの評価を分けて考えられるようになります。そのうえで、職業名ではなく「したい仕事」と「引き受けられる負担・避けたい負担」で希望を説明できます。

普通の火曜日を見たら、憧れが少し薄れた。では、何が変わったのでしょうか?

憧れている職業について検索します。

最初に目に入る説明は、魅力的に見えます。けれど、さらに読み進めると、別の部分も見えてきます。

修正。定期的な確認。記録。会議。フィードバックを受けてやり直す仕事。完成した成果だけを見ていたときには想像していなかった、地道な時間です。

ブラウザのタブは開いたままなのに、手が止まります。

この迷いが難しいのは、どちらの考えにも理由があるからです。

どんな仕事にも地味な部分はあります。それだけで大切にしてきた夢を手放すのは早いかもしれません。

一方で、毎週繰り返す仕事の多くに気が進まないのに、「この職業が好きだから」と言い聞かせ続けるのも違います。

そこで、問いを少し変えます。

この職業の仕事を一週間続けるとしたら、どの仕事なら実際にやりたいと思えるでしょうか。逆に、仕事内容そのものよりも、その職業に就いている自分のイメージに惹かれている部分は何でしょうか。

まずは、この二つを分けて考えてみます。

  • 仕事内容そのものと、肩書きや周囲からの評価を分けてみましょう。
  • 一番華やかな瞬間ではなく、普通の一週間を見てみましょう。
  • 職業名や学ぶ内容を決める前に、したい仕事と引き受けられる負担を言葉にしてみましょう。

1. 「仕事そのもの」「その職業に就いている自分」「周囲からの評価」を分ける

たとえば、あなたがこう言ったとします。

「デザイナーになりたいです。」

この一言には、いくつか別の願いが入っていることがあります。

一つは、仕事内容そのものです。問題を理解し、何かを作り、試し、よりよくしていく仕事がしたい。

もう一つは、その職業に就いている自分です。「自分はデザイナーだ」と思えることや、その肩書きが、なりたい自分に合っていると感じることです。

そして、周囲からの評価もあります。その仕事をしていることで、面白そう、専門性がある、役に立つ、すごいと思ってもらえることに価値を感じる場合もあります。

この三つは、同時にあってかまいません。

肩書きに惹かれるからといって、夢が偽物になるわけではありません。収入や社会的な立場、周囲からどう見られるかを考えること自体も、不自然ではありません。

難しいのは、「この職業に就きたい」という一言に全部をまとめると、それぞれの違いが見えなくなることです。

そこで、いったん職業名を外してみます。

たとえば、

「デジタルデザイナーになりたいですか?」

ではなく、

「画面をテストし、不具合を直し、フィードバックを受けて案を修正し、開発者と協力しながら、一部の判断を記録する仕事をしたいですか?」

と考えます。

こうすると、「なりたい肩書き」ではなく、「日々やること」に近づきます。

こうした調べ方に使える一つの資料が、米国労働省の支援を受けている職業データベース ONET OnLine です。ONETは、職業をタスク、仕事上の活動、仕事環境などに分けて説明しています。

ただし、O*NETが扱うのは米国の労働市場です。ここでは仕事内容の例を知るために使えますが、同じ業務内容、採用条件、給与が日本でもそのまま当てはまるとは限りません。

職業名は、その仕事の名前を教えてくれます。

仕事内容の一覧は、その名前の中で実際に何を引き受けることになるのかを見せてくれます。

2. 一番華やかな瞬間ではなく、普通の一週間で試してみる

「その仕事の全部を楽しめそうか」と考える必要はありません。

どんな仕事にも、好きではない部分はあります。

代わりに、こう考えてみます。

繰り返し行う仕事の中に、「この部分なら続けてやりたい」と思えるものが十分にあり、そのためなら気が進まない部分も引き受けられるでしょうか。

例として、デジタルインターフェースのデザインを見てみます。

O*NETの Web and Digital Interface Designers の現在の職業情報には、ウェブサイトや製品のテスト、テストや顧客からのフィードバックで見つかった問題の修正、開発者との協働、関係者からのフィードバックを受けたデザイン案の変更、デザインや開発手順の記録などが含まれています。

もちろん、すべてのデザイナーが毎週この全部を行うわけではありません。仕事内容は、会社、国、チーム、経験の段階によって大きく変わります。

そこで、これはあくまで「仮の一週間」として見てください。

一週間の仕事あなたの反応そこから分かること
修正した画面をテストし、うまく動かない部分を探す「原因を考えるなら、かなり時間を使ってもいい」仕事内容そのものに関心があるかもしれません
関係者からの意見を受けて案を変える「もっと自由なほうがいいけれど、これは受け入れられる」引き受けられる負担が見えています
判断やテスト結果を記録する「少しならいい。でも仕事の大半にはしたくない」職業全体を否定せずに、「ここまでは受け入れられる」という境界が見えています
開発者と相談しながら、実際に使える形にする「人と一緒に問題を解くのは好き」仕事の進め方そのものが合うかもしれません
「デザイナーです」と名乗る自分や、完成した作品を見せる場面を想像する「ここを一番よく想像している」肩書きや評価も魅力の一部かもしれません

ここで、架空の二人を比べてみます。

Aさんは、テスト、問題解決、人と協力する部分が好きです。記録や何度もの修正にはそれほど惹かれませんが、それを含めてもやりたい仕事が残っています。

Aさんにとって、普通の一週間を知ったことで夢は少し地味になりました。でも、むしろ現実味が増しました。

Bさんは、完成したものを見せることや「デザイナー」という肩書きには強く惹かれます。

ところが肩書きを外してみると、テスト、修正、関係者からのフィードバック、協働、記録のどれにも、あまり時間を使いたくありません。

だからといって、Bさんの夢が「間違っていた」とは言えません。

ただ、次に考えるべき問いが変わります。

もしかすると、別の職種なら、Bさんが本当に惹かれていた要素をもっと多く含んでいるかもしれません。創造的な仕事は好きでも、このような仕事の進め方には惹かれないのかもしれません。あるいは、自分が思っていた以上に、その職業に就いている自分のイメージが大きな魅力だったのかもしれません。

この比較で得たい答えは、単純な「向いている/向いていない」ではありません。

見えてくるのは、繰り返してでもやりたい仕事と、それを中心に職業を組み立てたいとは思わない仕事です。

ここには一つ限界もあります。

この方法は、調べた仕事内容が現実に近いほど役に立ちます。

一つの職業紹介ページだけで、すべての職場は分かりません。大きな決断をする前なら、複数の求人票、職業情報、実際に似た仕事をしている人の話を比べることができます。

完璧な「架空の一週間」を作ることが目的ではありません。

職業名だけで考えるより、実際の仕事について確かな材料を少し増やすことが目的です。

3. 職業名ではなく、「したい仕事」と「避けたい負担」を一文にする

仕事内容と肩書きを分けて見られるようになると、自分の希望をもう少し正確に言えるようになります。

たとえば、

「デザイナーになりたいです。」

だけではなく、こう言えます。

「人が何を必要としているかを考え、アイデアを試し、デジタル製品を改善する仕事がしたいです。修正やチームからのフィードバックは受け入れられます。ただ、定型的なコンテンツ更新作業が仕事の大半を占める役割は避けたいです。デザイナーという肩書きにも魅力を感じますが、毎週の仕事そのものに納得できることを大切にしたいです。」

この一文があると、考える材料が増えます。

違う職業名同士を比べられます。

名前が似ている二つの仕事でも、実際の中身が大きく違うことに気づけます。

そして、「次に何を学ぶか」を決める材料にもなります。

たとえば、ユーザーリサーチに惹かれているなら、短い入門講座などを通じて、ユーザーリサーチについて読むだけでなく、実際にその作業をやってみることができます。

最初に難しく感じたからといって、それだけで「この仕事は合わない」とは言えません。単に初めてだから難しいこともあります。

そこで、もう一つ問いを置きます。

「やり方が分かったあとも、この種類の仕事をもっと上手くなりたいと思えるでしょうか。」

講座や個人プロジェクトなどの小さな試行だけで、実際の職場のプレッシャーや人間関係まで再現することはできません。

それでも、職業名だけを見て考えるより、具体的な作業に対する自分の反応を確かめられます。

次の判断には、それで十分なことがあります。

完璧な職業を今すぐ見つける必要はありません。

まずは、生活の中に増やしたい仕事は何か。そして、繰り返し続くなら避けたい負担は何か。 そこを少し明確にできればよいのです。

近くで見るほど、夢が消えるとは限りません

仕事内容、その職業に就いている自分、周囲からの評価は、どれか一つだけを選ぶ必要はありません。

一つの職業が、三つすべてを満たすこともあります。

分けて考える目的は、意欲や憧れを捨てることではありません。

魅力的な一部分だけに、職業全体の判断を任せないためです。

まず、肩書きの後ろにある、繰り返す仕事を見ます。

次に、その中に続けてやりたい仕事が十分あり、気が進まない部分もそのためなら引き受けられるかを考えます。

最後に、その組み合わせを自分の言葉で説明します。

それでも仕事内容に惹かれるなら、その肩書きには、前より具体的な意味があります。

もし惹かれないなら、それも無駄ではありません。夢の中で大切だった部分を残しながら、それをもっと多く含む別の仕事を探せます。

理想のあなたに近づくために

  • 憧れている職業を一つ選び、 職業名を、普通の一週間にありそうな5〜6個の仕事へ置き換えてみましょう。
  • 「嫌い」と「引き受けられる負担」を分けてみましょう。 喜んでやりたい仕事、大切な仕事のためなら受け入れられる仕事、週の大半を占めてほしくない仕事を分けます。
  • 実際に使える一文を残してみましょう。 「私は___と___ができる仕事をしたいです。___は受け入れられます。ただ、___が一週間の大半を占める仕事は避けたいです。」

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このコースが、この記事の問いに直接答えを出してくれるわけではありません。ただ、職業を調べる手順を整えるという意味では関連があります。その職業があなたに合うかどうかは自分で確かめる必要があり、日本での実際の仕事内容や応募要件も別途確認が必要です。