仕事の実績を思い出せないなら、週1回だけメモを残そう
評価面談や応募の直前に数か月分の仕事を思い出すのではなく、課題、自分の判断や行動、変化、証拠の場所を毎週短く残しておきます。
こんな思いを抱えている方へ
評価面談、履歴書、応募書類で具体的な仕事の実績を求められると、何をしたか思い出せなくなる人。
この記事で考えられること
日常の仕事を誇張せず、チームの成果と自分の貢献を分けながら、後から確認できる実績メモを1件残せるようになります。
忙しかったことは覚えている。でも、実際に何をしたのでしょうか?
評価面談のフォームを開いた場面を想像してみてください。
質問は簡単に見えます。「何を達成しましたか?」
慌ただしい朝、長いメッセージのやり取り、会議、修正対応、依頼、締め切りは思い出せます。けれど、それを具体例にしようとすると、「頑張った」「いろいろな作業をこなした」くらいしか出てこないことがあります。
そこで、昔のメールや資料を探し始めます。何か見れば、この数か月の仕事を思い出せるかもしれないからです。
問題は、毎週大きな成果があったかどうかではありません。仕事が先へ進むうちに、何が問題で、自分が何をして、何が変わったのかという具体的な経緯が抜け落ちやすいことです。
そこで役立つのが、週1回の短いメモです。未来の自分に過去を復元させるのではなく、「何があったか」を思い出せるだけの情報を残しておきます。
必要なのは、次の4つだけです。
課題: 何に対応する必要がありましたか?
自分の判断・行動: 何を決め、変え、直し、提案し、明確にしましたか?
変化: その後、何が変わりましたか?
証拠: 後からどこを見れば確認できますか?
これは、どの会社にも共通する評価制度ではありません。ただし、実績を整理する考え方の一例として、米国人事管理局(U.S. Office of Personnel Management)は、応募者の実績記録について、課題や状況、本人が取った具体的な行動、その結果や成果を記述する形を示しています。また、通常は記載内容を確認できる人の情報も求めると説明しています。(U.S. Office of Personnel Management)
ここで大切なのは、どれだけ忙しかったかではなく、何が起きて、自分が何をしたのかを残すことです。
「忙しかった」を、説明できる実績に変える
たとえば金曜日に、こう書いたとします。
チームの引き継ぎ方法を改善した。
悪くはありませんが、1か月後に読み返すと、むしろ疑問が増えます。
何が問題だったのでしょうか。自分は何をしたのでしょうか。本当に何か変わったのでしょうか。
次の架空の例と比べてみます。
課題: 毎週の引き継ぎで、未完了の項目に次の担当者が決まっていないことがあった。
自分の判断・行動: 新しい資料を増やすのではなく、既存の引き継ぎメモに「担当者」と「次の対応」の欄を追加した。
変化: 次の引き継ぎでは、未完了の各項目に担当者と次の対応が記載されていた。
証拠: 更新後の引き継ぎ資料と変更履歴。
ここでは、大げさな言い方は必要ありません。
役に立つのは、この一連の流れです。課題があり、自分で判断して行動し、確認できる変化が起き、後から詳細を確かめられる場所があります。
この形で残しておくと、後から使いやすくなります。履歴書なら短くできます。面接なら詳しく説明できます。評価面談の前なら、実際に何があったのかを思い出す手がかりになります。
今週、目立つ成果がなかったら?
実績メモで無理が出やすいのは、ここです。
毎週金曜日に必ず「成果」を作らなければならないと思うと、普通の仕事を必要以上に大きく書き始めることがあります。
小さな改善が「大規模な業務改革」になり、日常業務が「重要プロジェクト」になります。文章は強そうになりますが、事実からは離れていきます。
実際には、目立たない貢献もあります。
次も架空の例です。
課題: 新しくチームに入った人が、複数ある手順書のうち、どれが最新版なのか確認しなければならなかった。
自分の判断・行動: 共有ページの一番上に最新版の手順書へのリンクを置き、古い版には「アーカイブ」と明記した。
変化: その後は、共有ページから最新版の手順書を直接確認できる状態になった。
証拠: ページの変更履歴と更新後の引き継ぎ資料。
売上の数字はありません。大きなリリースでもありません。生産性が急に上がったとも書いていません。
それでも、このメモには実際の貢献が残っています。
一方で、反対の例もあります。今週は通常業務をこなしただけで、自分の判断、改善、解決した問題、変化として挙げられるものが特にないかもしれません。
その週は、実績メモがなくても構いません。
目的は、7日ごとに無理やり成果を作ることではありません。本当にあった貢献を、細部が消える前に残す機会を作ることです。
チームの成果と、自分の貢献を分けて書く
もう一つ、よくある難しさがあります。
結果そのものは本物でも、複数人で作った成果かもしれません。
たとえば、チームが予定どおりにリリースを完了したとします。
そこで、
私が予定どおりリリースを完了させた。
と書くと、共同の成果を一人で達成したように読めます。
代わりに、2つを分けて残せます。
チームの成果: リリースは予定どおり完了した。
自分の貢献: リリース前のチェックリストで担当者が決まっていない項目を2件見つけ、最終確認で共有し、担当が決まった後にチェックリストを更新した。
証拠: 最終版のチェックリストと確認時の記録。
これなら、チーム全体の成果を自分一人のものにする必要も、自分の貢献を見えなくする必要もありません。
チームの成果は、チームの成果として残ります。そのうえで、自分が担当した部分も具体的に残せます。
米国連邦政府の業績管理システムの一つであるUSA Performanceは、その制度の中で、本人が提出する実績記述を、主要な成果をまとめ、結果や貢献、具体例を示し、上司が評価するための背景や証拠を伝えるものと説明しています。勤務先によって評価方法は異なるため、実際には自社のルールを優先してください。(USA Performance)
ここで使いたい考え方は、もっと限定的です。自分で説明できる範囲だけを自分の貢献として書き、共同の結果は共同の結果として分けます。
未来の自分が確認できるだけの証拠を残す
4つの項目には、それぞれ役割があります。
課題は、なぜその仕事に意味があったのかを示します。
自分の判断・行動は、自分が実際に何をしたのかを示します。
変化は、単なる作業一覧になるのを防ぎます。
証拠は、細かな記憶が薄れたあとでも戻って確認できる場所を残します。
ここでいう「証拠」は、会社の機密資料を個人用の場所へコピーすることではありません。勤務先のルールに従いながら、チケット番号、資料名、承認済みの報告書、変更履歴、フィードバックのメッセージ、社内ダッシュボードなど、後から参照できる場所を記録するだけでも十分な場合があります。
今週分なら、次の形で1件残せます。
課題:
自分の判断・行動:
変化:
証拠:
共同作業なら: チームの成果 / 自分の貢献
毎週金曜日に履歴書を書く必要はありません。
実際にやった仕事へ戻るための、小さな道しるべを残すだけです。
数か月後に「何を達成しましたか?」と聞かれたとき、「忙しかった」という曖昧な記憶だけに頼らず、説明でき、確認でき、自分の貢献だと正確に言える具体例へ戻りやすくなります。
その仕事をしたいですか? それとも、「その仕事をしている自分」が好きですか?
努力してきた夢を、今も本当に追いたいですか?
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